まだ日も出ていない時間からヘッドライトを点けアプローチを開始。1時間弱、山道を歩くと巨大な岸壁が姿を現した。小豆島の岩場「赤岳」だ。
数年前から毎年開催されている瀬戸内JAMの中で日本のトップクライマーが訪れている岩場であり、2022年秋に一般公開の開始を予定している。
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強風に加え、11月の小豆島では異例の寒さの中、橋本正寿(通称:マサ)は約40メートルの長さのある《エル・カミノ(5.13B)》というルートに初めて挑戦した。
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エル・カミノ【El Camino】はスペイン語で「路」を意味する。初登者は西日本を中心に開拓を行うクライマー稲垣智洋氏だ。
「日本にはあまりない40メートルを超えるルート。そこに面白さが詰まっている」という橋本の言葉通り、登り切るには保持力と持久力、そして精神力が必要とされるが、その分日本国内ではあまりない岩の形状とその巨大さを感じることができる。
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ルートの半分あたりを過ぎると傾斜が強くなり始める。そこを一つ一つ丁寧にホールドを選びながら進んでいく。
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岩場に響わたるシャウトは一人きりで長い「路」を進む橋本の完登への強い意思だと感じた。
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登り始めて約23分が経った頃、橋本は見事、完登を果たした。
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